涙で押印した契約書。
これが、人情のM&Aです。
ある葬祭事業者の先代社長が、当社に連絡をくださったのは、 会社を創業してから20年が経った頃のことでした。 長年の苦労がようやく実を結び、 役員報酬もようやく安定して受け取れるようになったその矢先—— 65歳のとき、末期がんの宣告を受けられたのです。
後継者はいない。治療を続けながら、経営も続けた。 「廃業すべきか、それとも誰かに引き継いでもらうべきか」—— その問いを胸に抱えたまま、3年間を駆け抜けられました。 68歳のとき、ご縁あって当社にお声がけいただきました。
「20年間、必死で育ててきた会社です。
できれば、潰さずに残してほしい。
従業員たちのことも、どうか頼みます」
当社が選んだのは、通常の株式譲渡ではなく「のれん方式」でした。 スキームを工夫することで、先代社長の手元により多くの対価が残るように設計する—— それが、誠実な買い手としての当社の答えでした。 その後11ヶ月をかけ、先代社長と何度も膝を突き合わせながら、 丁寧に丁寧に協議を重ねました。
そして、契約書に印を押すその日—— 奥様にも同席していただきました。 柚木は、先代社長が20年かけて築いてこられたホールの名前を、 自分たちが受け継いでいくという覚悟を、そっと胸の中で噛み締めていました。 「この名前を、絶対に大切にする」—— その決意がこみ上げてきたとき、気がつけば涙がこぼれていました。
ふと顔を上げると、
先代社長も、奥様も、目に涙を浮かべておられました。
言葉はいりませんでした。
契約から7ヶ月後、先代社長は懸命な闘病の末、静かに旅立たれました。
当社は、その最期を立派な社葬でお見送りしました。
いまも、ご遺族の皆様とはLINEで連絡を取り合うほど仲良しです。
近々、先代社長が生前よく通っていたという焼肉屋さんに、みんなで一緒に行こうという話も出ています。
実は、このM&Aには特別な意味がありました。
当社が「100店舗」という目標を掲げたのは2024年のこと。
この案件は、その目標に向けた記念すべき第1歩でした。
100店舗構想の第1歩だったからこそ、絶対に売主様に満足していただきたかった。
最初のM&Aを中途半端な形で終えてしまえば、
その後に続くすべてのM&Aに必ず影響が出る——そう信じていたからです。
第1歩目を、最高の成功事例にしたい。その願いが、叶いました。
いま、そのホールを日々支えてくださっているスタッフの皆様へ。
当社の社員一同へ。そして、大切なご縁をつないでくださった先代社長のご家族へ。
心からの感謝を申し上げます。
こんな人情のM&Aが、あってもいいじゃないですか。
大切な会社を、大切なまま、次の時代へつなぐ。
それが、AiFitのM&Aです。