仏眼相とは?左手親指の手相『仏の眼』の意味・見方・ある人の特徴
2016年の年明けでした。何気なく自分の手を見て、あれ、と思いました。
左手の親指の関節に、目のかたちをしたしわが出ていたのです。右手にはありません。左手だけでした。
調べてみると、これは仏眼相(ぶつげんそう)と呼ばれるものだと分かりました。以来10年、この話はお客様との会話でもときどき出てきます。
葬儀の仕事をしております、アイフィットさいき葬祭の柚木力と申します。手相の専門家ではありませんので、占いとしての良し悪しを申し上げることはできません。ただ「仏眼」という言葉のほうは、この仕事をしているからこそ、後になって分かったことがありました。そのお話をさせてください。
自分の指に出たときのこと
正直に申しますと、最初は少し怖いような気持ちでした。
この仕事は、毎日どなたかのお別れに立ち会います。そういう仕事をしている人間の手に、ある日「仏の眼」と呼ばれるしるしが出てくる。偶然だと分かってはいても、何か言われているような気がしたのです。
そのとき日記に書いたのは、たった一行でした。
しっかり修業を頑張ろうと思いました。
今読み返すと素っ気ない文章ですが、あのときの気持ちはそれに尽きます。占いが当たるかどうかではなく、見られているつもりで仕事をしようと、それだけを思いました。
ご自身の指を確かめてみてください
ここまで読んでくださった方は、きっとご自分の親指を見ておられると思います。見方をご説明します。
- 親指を軽く曲げて、第一関節(爪に近いほうの関節)を見ます
- 関節の横じわが、上下2本の弧になっているかを確かめます
- その2本が両端でつながって、閉じた輪=目のかたちに見えれば、それが仏眼相と呼ばれるものです
しわが1本だけの方、2本あっても端が開いている方は、そう呼ばれません。ただ、それで何かが決まるわけではありません。
私の場合も、生まれつきあったわけではありません。40代になってから急に出てきました。関節のしわは手の使い方や年齢で変わるものだそうです。今なくても、この先お出になることはあります。
あとから分かった「仏眼」の意味
お恥ずかしい話ですが、私は長いあいだ、仏眼という言葉を手相の用語だと思っておりました。
そうではありませんでした。仏眼はもともと仏教の言葉です。毎日お仏壇の前に座り、お寺さまとお話しする仕事をしていながら、自分の指にしるしが出るまで知らずにいました。
仏教では、ものを見る眼のはたらきを五つの段階で説きます。五眼(ごげん)といいます。
| 名称 | 説かれている内容 |
|---|---|
| 肉眼(にくげん) | 私たちが普段ものを見ている、生身の眼 |
| 天眼(てんげん) | 遠くのもの、隔てられたものまで見通す眼 |
| 慧眼(えげん) | ものごとの本質を見抜く眼 |
| 法眼(ほうげん) | その人に応じた導きを見てとる眼 |
| 仏眼(ぶつげん) | 前の四つをすべて備え、へだてなく、ありのままに見る眼 |
仏眼は、この五つの最後に置かれます。分け隔てをせずに見る眼、とされています。
この話を知ってから、仏像の見え方が変わりました。
多くの仏さまは、目を大きく見開いてはおられません。かといって閉じてもおられない。伏し目がちの、半眼(はんがん)と呼ばれるお姿です。外の世界を見ながら、同時に内側も見ておられる。そう伝えられています。
親指の関節のしわを「仏の眼」と呼んだ昔の人は、この半眼のお姿を思い浮かべたのではないか。私はそう思っております。
もっとも、手相の仏眼相が仏教の仏眼に由来すると示す確かな資料を、私は見つけられておりません。名前が重なっているだけかもしれません。そこは断定を避けたいと思います。
お客様から聞かれること
お葬式の場で手相の話が出ることは、まずありません。
ただ、こういうご質問はときどきいただきます。
「仏さまは、どうして目を閉じておられるのですか」
閉じておられるのではなく、半眼なのですとお答えすると、皆さん改めてお顔を見上げられます。ご葬儀のあいだ、そういう小さなお話が、少しだけ気持ちをほぐすことがあります。
仏事にも「眼」を入れる作法があります
手相から離れますが、この仕事をしていて「眼」という言葉に一番よく出会うのは、実は別の場面です。
開眼供養(かいげんくよう)といいます。地域によっては「お性根入れ(おしょうねいれ)」とも申します。
新しくお仏壇をお迎えしたとき、お位牌をおつくりしたとき、お墓を建てたとき。そのままでは、まだ物です。ご住職に読経をいただいて、はじめて手を合わせる対象になります。この儀式を開眼供養と呼びます。
仏像を彫るとき、最後に眼を入れて完成とする。そこから来た言葉だと伝えられています。眼が入って、はじめて仏さまになるということです。
反対の作法もあります。閉眼供養(へいがんくよう)、「お性根抜き」です。
お仏壇を処分するとき、お墓を墓じまいするとき、お位牌をお焚き上げするとき。いきなり片付けるのではなく、先に閉眼供養をして、仏さまとしてのはたらきをお納めいただきます。そのうえで、はじめて物として処分できるようになります。
お墓じまいのご相談をいただいたとき、この順番をご存じない方は少なくありません。先に石材店へ連絡してしまい、あとからご住職ともめてしまう。これは実際によくあるご相談です。順番としては、まず菩提寺へご相談ください。
手相の仏眼相と、この開眼・閉眼に直接のつながりはありません。ただ、仏教において「眼」という言葉がどれほど重く扱われてきたかは、この作法からも伝わるように思います。
ものに眼を入れて仏とし、眼を閉じていただいて物に戻す。その境目に、手を合わせる行為がある。私はそう理解しております。
10年経って思うこと
私の左手の仏眼相は、いまも消えずにあります。
この10年で、勘が鋭くなったという実感はありません。記憶力がよくなったということもありません。占いに書かれているようなことは、正直なところ何も起きておりません。
ただ、手を洗うたびに目に入ります。そのたびに、あのとき書いた一行を思い出します。
それだけで十分だったのだと、いまは思います。
よくあるご質問
仏眼相は珍しいものですか
特別に珍しいものではありません。社員の手を見せてもらうと、思いのほか見つかります。
後から出てくることはありますか
あります。私自身がそうでした。関節のしわは変化するものです。
仏眼相があると霊感があるのですか
そのように語られることはありますが、確かめる方法はありません。昔からの言い伝えとしてお受け取りください。これを根拠に不安をあおったり、高額なものを勧めたりする方がおられましたら、どうぞお気をつけください。
仏眼相がないと縁起が悪いのですか
そのようなことはありません。あるかないかで、良し悪しが決まるものではありません。
※ 手相に関する記述は、古くからの言い伝えを整理したものです。科学的な根拠を示すものではなく、吉凶や運勢を判断するものでもありません。五眼・半眼については一般的な仏教解説に基づいており、宗派によって説き方が異なる場合があります。詳しくは菩提寺のご住職におたずねください。
執筆:柚木 力(有限会社Aifit 代表取締役/葬儀事前相談員・運行管理者・葬祭経営士)
