民家ぐらいの小さな設備で家族葬を売りにする業者の価値観との戦い
弊社の直営のホールは2カ所。
これ、葬儀社の経営者の方が読んだら今日は面白い内容じゃないかと思います。
基本的にこれを書いてる私は専務。おやっさんが社長です。
フォレストホールは1000人規模のお葬儀が出来ます。3年前にフォレストホールは出来ました。
ようは大きなホールを作ったっていうお話です。社長の強い意志でした。いままで、体を壊しても壊しても地域のために地域と共に歩んでいく葬儀社であるために、地元の会合や祭りに必ず出席してきた社長であります。しかし、いざ友人や知人のご家庭にご不孝があった時、大きな設備を持っていない社長は、ライバル社の経営する大きな葬儀ホールに会葬に出かける事も多々ありました。友人や知人の方は、「すまんの~、ほんまはおたくでやりたかったんだけど、入りきらんからの~」と断りを受けた社長の背中を見ると、少し僕もウルっと来ることもありました。でも、いろんな問題は山積です。大きなホールを建てるという事は、大きな借金を背負うという事に他なりません。銀行の融資のことは代表取締役のお仕事ですんで、たとえ仮に僕がチャキチャキと業務が出来たとしても信用は代表個人という事になりますから、ホール建設するための銀行からの信用とは別問題ですよね。なんと銀行はフォレストホール建設にすぐOKをくれたのでありました。それが4年前の話です。
そんな中、社内戦略室である私は思っていました。フォレストホールを建設するという事実に変わりはないようで、そうなると本気で盛り上げていくしかないと覚悟したわけであります。ま、これからは社員一丸となってやっていかないと、社長や専務だけがやる気になったつもりじゃ到底立ち向かえないぞ?と薄々気付いたので、そこでトップダウン型の組織から、末端社員やパートさんともコミュニケーションをしっかり取っていく組織に変えるきっかけともなりました。
さて近年増えてきた家族葬専門の新興葬儀社は、小さなお葬式とか家族葬は正義で、たくさんの方が手を合わせに来てくれる御葬儀を悪?というか、普通の葬式はムダが多い、ムダが多いと誘導しようとしてるのに気が付いてますか?はたまた、最近は心がこもってない葬儀が多いとか送る気持ちが無い?みたいな空気に持っていこうとしてるのを見ると、正直苦笑してしまいます。しかもそう言う家族葬専門の新興葬儀社の価格を見ると、、、安く見せかけて高いんですよね。というか、安いのもありますが、普通はこれですけど?みたいな営業スタイルをやってしまってるわけです。10人のお葬式が、、、40万円!みたいなね。逆に昔から地道にやってる我々のような全葬連に加盟している業者は70人のお葬式でも40万円だったりします。70人でも来ていただけたなら、葬儀費用はお香典でまかなえたりします。そもそもお香典の意味は、参列した方が遺族に対し『心中お察し致します、せめて金銭的負担が減るよう心ばかりですがお使いくださいませ』ですからね。人が来ないと葬儀社にとってはそりゃあ楽ですよ。色んな面で。しかし、人の訃報に際してお金を頂くお仕事ですし、お客様が人生で一大事が起こってしまってる傍らでお手伝いしていくわけですからね。そりゃあもうこちらも緊張の連続ですから、だからこそお客様のために一生懸命に気配りをしながら、設備投資しながら裏方に徹するわけです。
本格寿司職人にとっての一流の包丁、美容師にとっての高いハサミ。これは葬儀社にとっての葬儀式場です。いざ高い包丁やハサミを買うときは、かなりの勇気がいるでしょう?でも、一流の道具は嘘つかない。
逆に、安物を買ってしまうとすぐに歯が欠ける、何回も買い換えなければならない、下手したらお客さんを傷つけてしまうかもしれない。、、
、葬儀も!同じです。10人しか来ないと予想した葬儀に50人も来てごらんなさい。みんなに迷惑かけてしまいます。だから、駐車場は広く、座席数も余分があるぐらいが良いのです。ムダに広くしてるんじゃなくて、その逆です。年々高齢化がすすみ葬儀は小型化してるのは紛れもない事実ですが、家族葬専門の葬儀社が次次にできてくるのを見て私は思う。葬祭業をする上で家一軒程度の2、3千万円の中途半端な投資でお客様を喜ばせられると思うことなかれ!とね。
それに心のこもったお葬式かどうか、葬儀社が決めるもんじゃないよ?といいたいと思っています。
JAにしても、異業種参入にしても、そもそも根本にある大切な送る側の気持ちを知らずに会社を立ち上げて、思ったより利益がでないなぁなんてやってるのを見たり聞いたりしたら、『当たり前~。そう簡単に利益なんてもたらされないよ?』と言いたいし、どうも昨今の葬儀業界が一夜漬け的で質が下がってきたなという風に見えて仕方ありません。危惧しているところです。