ゆっくりと時が流れ
悲しみを悲しみだけで終わらせるのではなく
笑顔でありがとうを伝えたい
そんな打ち合わせが1時間。
いったん我々は会社に戻って
社員一丸となって神経を研ぎ澄ませます。
どのようにしてご当家の要望に近づけるか。そして寄り添うか。
出発の支度が整うとご自宅での家族葬の設営へ。
徐々に想いへと近づける。
今回選んだお花はバラの中でもアバランチェ。
形になってくるにつれて、ご親族が集まり始めました。
香り立つほどのお花に囲まれたご遺影写真。
そこには、ゆったりとした回顧、回想の時間。
おじいちゃん、お疲れ様。おじいちゃん、ありがとう。
社会人となられたお孫様が目を細めて遺影に向かっておられます。
当社は常々この瞬間を大切にしております。
もしもこれが自動車であれば納車の瞬間といいましょうか。
住宅ですと家屋引き渡しの瞬間といいましょうか。
これで良かった・・・から
これが良かった・・・へ昇華するその一瞬。
ご葬儀とは、一つの節目です。
試験のマークシートのように明確な正解はありませんし
世界陸上のように記録に残るものでもありませんが
そこで行われた偲(しの)ぶという一瞬、一瞬がそこにあるという事実
それは、これからも記憶に残ります。
携わる我々にとっても大変素敵なご葬儀でした。
最近、当社へご依頼くださるお客様に明確な傾向が表れて参りました。
きちんと見送りたい、そのきちんととは、形式にこだわるという意味ではなく
家族をきちんと見送ることで
きちんと自分自身と向き合う瞬間を大切になさりたい
そんなお客様が当社をご用命し始めてくださっています。
実は昨日お打ち合わせさせていただいた別のお客様は
友人からのご紹介だったのですが
15人ほどで家族葬。質素倹約で必要最低限でというご要望だったのですが
県外のお寺が本寺。どうされるのかしら?と様子を見ていると
きちんと県外からでも本寺様を招いてお経を頂かれておられました。
そう。あらためて素敵な喪主様のご意向を肌で感じました。
大切な尊重したい部分と、個人の遺志で変化させてもかまわないもの。
時代は変わりつつあります。
考え方も千差万別。
その中で取捨選択がうまく機能し、親族内の意思調整もうまくいったお手本のような
ご葬儀でした。
合掌